iMac(27inch,2012)の修理レポートです
〜 薄型iMacのHDDをSSDに換装する 〜
iMacが光学ドライブ無しの薄型になってからもうすぐ10年となります。弊社では光学ドライブ付iMacの修理をガンガンやってますので、自分などからしたら薄型のiMacの印象は今だに『新しいiMac』なんですが。 それでも出たての頃のモデルともなればもう10年ですからね。そろそろHDDをはじめとした各種パーツが経年劣化を起こしてもおかしくない。そんな訳で今回のご依頼は内蔵HDDをSSDに変更してほしいというものでした。
FusionDriveタイプは分解に手間がかかります
今回お預かりしたiMacは2012年モデルのiMac27inch、FusionDriveタイプでした。通常のSATA HDDのモデルであれば分解してHDDを取り替えれば良いのですが、FusionDriveのタイプはSATA HDDとは別にSSDがロジックボードの裏側に搭載されています。業者によってはこのSSDはそのままにしてHDDだけを変える所もあるようですが、長期間の使用でデータの保存ができなくなるといった不具合が発生するリスクがあるため(当社調べ)弊社では必ず取り外してお戻しさせていただいております。という事でこいつを取るためにはロジックボードを剥がさないといけない。(汗)
スピーカーに隠れた罠
薄型のiMacの分解が以前のものよりも大変になったのはご存知の方も多いと思いますのでここではそこまで触れませんが、液晶パネルを無事に剥がすことができさえすれば実はそこから先はそこまで大変ではありません。『薄型iMacの分解は液晶に始まり液晶に終わる』と断言しても良いぐらいこの液晶剥がしが最初の関門なんですよね。
だがしかし!一点恐ろしい罠があるんです。 このタイプのiMacを分解される方はそうは多くないでしょうが、俺は自分でやってやるぜ!という猛者のためにご紹介しておこうと思います。
ロジックボードを剥がすためにはHDDだけではなく左右のスピーカーや電源ユニットなどを先に取る必要があります。工程的にHDDをとったら次はスピーカーを外す流れになるのですが、実はこの左側のスピーカーが今回のブログの本題です!罠です!!やっと本題です。
写真を見ていただくとわかる通り、下から上に向かって伸びているケーブルがありますよね? これは本体裏側にある電源スイッチから電源ユニットの繋がっているケーブルなんです。ユーザーが電源ボタンを押すとここから電源ユニットのに信号が送られて『ジャーン!』と起動するという訳ですね。
このケーブルがですね。実にいやらしい形で左スピーカーに組み込まれているんです。
分かりますでしょうか? 組み込まれているという表現が適切かどうかは微妙ですがスピーカーの下の部分に這わせるような作りになっているんですよ。そのために勢いよくスピーカーを引っ張るとこのケーブルが『ブチッ!!』とちぎれてしまうんです。
一度切れてしまったら最後、iMac のスイッチ部分は交換が出来ません。正確には絶対無理とは言いませんがまず無理と言った方が良いでしょうか。そういう構造なんですw
なので我々もこの部分は毎回かなり慎重に作業します。まだ修理見習いの頃に一度切ってしまってトラウマになっているということは秘密ですが、それだけに人一倍慎重に作業し、無事にスピーカーを取りはずとこんな感じになるんです。
まとめ
ということで、今回は修理レポートというよりは普段とちょっと違った切り口の記事となりました。
元々Apple製品は見た目の美しさスタイリッシュさにもメーカーのこだわりが強く感じられます。それは見た目だけでなく内部の構造についてもいえるんですね。交換修理をしていると『なんでここのケーブルこんなギリギリなんだよ!届かねぇじゃん!』とか『どうしたらこのスペースにこの基盤が入るんだ?』なんて感じる事がザラにありますから。ある意味今回の罠だってそう、もっと余裕持った配線だったり安全な構造にしてくれてりゃこんな怖い事にはならないわけで(笑)