MacBookPro(Retina,13-inch,Late 2012)モデルの修理レポートです
〜 キーボードに飲み物をこぼしたら電源が入らなくなった 〜
キーボードの上に飲み物をこぼしてしまい電源が入らなくなってしまったMacの修理レポートになります。
大量の液体が混入(初期診断)
上記のようなご相談をいただきましたので早速本体をお預かりさせていただきました。初期診断開始です。
電源アダプタを繋いでもLEDが点灯せず。電源は全く入りませんでしたので本体裏蓋を開けて内部を確認したところ、大量の液体痕が確認できました。(上記写真)
上記写真をご覧いただくと判る通り基板内部の所々に液体痕、場所によってはまだ水分が残っていたところもありました。また腐食も始まっていたので、まずは基板洗浄作業から行う事にしました。
洗浄作業で液体による影響を全て取り除いた上で基板上の通電状態を確認。どこかにショートしてしまっている場所がないかを調べます。
この結果、ショート箇所が4箇所ほど見つかりました。特にひどかったのは3.42V Supplyの一部パターンが液体によって裂傷、剥離してしまったことでしたが、ハンダを使い導線でブリッジをさせる事で通電回路を回復させる事に成功しました。
これにより見事本体の電源も入るようになりました!!
電源が入るようになったので今度は全体の動作検証を行ったのですが、ここで問題発覚!
Finderメニューを見ると内蔵のバッテリーはちゃんと認識しているように見えましたが、実際は充電が出来ず電源アダプタを外すと電源が落ちる症状が出ていることがわかりました。バッテリーが全く機能していなかったんですね。よくよく見たらバッテリーの項目に『今すぐ交換』のサインが出ていることがわかりました。
このため社内にあった検証用のバッテリーを取り付けてみたところ、問題なくバッテリーを認識しそのままバッテリーのみの起動も出来ることがわかりました。そして充電もちゃんと出来ることを確認。うーむ、これは元々だったのかそれとも今回からなのか?
この点をお客様に電話してみたところ、普段は主に電源アダプタを繋いで使っていたようで『バッテリーが認識しない症状が元からだったのかちょっとわからない』との事でした。 という事で今回の液体が影響しているかは判断が難しい状況ですが、いずれにしてもバッテリー交換は必須となりました。
まとめ
手配した新品の交換用バッテリーが到着し、早速本体に搭載。ここで充放電のテストを何度か行いつつ本体の最終動作検証を行いました。この結果正常な動作が確認できましたので完了のご連絡となりました。
今回は基板洗浄だけでは起動回復ならずで、ショート箇所の検出から再ハンダ作業となかなか手強い修理となりましたが、無事に起動できるようになって一安心です。ノートタイプのMacを使っているとどうしてもこういう液体こぼしのようなトラブルが起きてしまいます。そんな時のために普段からバックアップを取りながらお使いになる事をおすすめします。それでももしこのようなトラブルが起きた方は是非アーストまでお知らせくださいませ。