PowerMacG4(QuickSilver)モデルの修理レポートです
東京都西東京市のお客様からMac修理のご依頼です。
新宿ラボへ配送にてお預かりさせていただきました。
このPowerMacG4のモデルはOS9からOSXに切り替わる頃のモデルで、その関係上どちらのOSでも使える仕様になっています。おそらく発売当時はOS9ユーザーの方が圧倒的に多かったのではないかと思いますが、今回の症状としてはまさにそのOSを切り替えようとするとMacの電源が落ちてしまうという内容でした。
電源は落ちるが時間をおけば起動できる
初期診断開始。最初の起動では二系統ある映像出力のVGA側につないで起動を試した所いきなり画面来ず(電源は入っています)。今度はもう片方の接続規格ADCに切り替えたところ画面映りました。その為VGAとADCの両方にディスプレイをつなげて起動させたところ、ADC側のみ表示されました。この時点で電源ではなくグラフィックボード不良の可能性も浮上してきました。
電源が入らないとか、電源が落ちると言った不具合の場合は最初に電源ユニット不良を疑うのですが(PowerMacG4のシリーズは後期モデルMDD(Mirrored Drive Doors)に特に多い)、必ずしも電源が悪いわけでもありません。その為まずは地道に疑わしい部分を一つ一つチェックしていく必要があります。
電源ユニットを交換するが
いくつかの原因が考えられる状況ではありますが、やはりまずは本丸である電源ユニットの交換を試してみる事にしました。
すでに検証の時点で疑わしくはありましたが、正常な電源に交換することで各パーツに供給される電力が安定し正常に動作するようになった、というケースも過去に何度かありましたので今回もそのパターンを期待し交換してみます。しかし残念ながら起動はするものの画面は来ず。どうやら電源ユニット不良では無さそうです。
原因特定
電源交換でも改善が見られなかった為、疑わしいパーツを順に検証します。グラフィックボード、メモリ、内蔵電池の交換を試すのはもとより、HDDや光学ドライブなど本体が電源を供給している内部パーツに何らかの問題がないかをチェックします。ちなみに今回はしっかりと症状が出ているのでそれにはあたりませんが、お客さまの所では不具合が出るのに弊社に届いたら全く症状が出てくれないというケースもあります。そんな時は普段接続している周辺機器などに起因している事もあるので、検証の際はこの辺りまでしっかりと確認する必要があります。
上記検証を行った結果、今回はメイン基盤であるロジックボードが疑わしいという結論に至り、早速同ボードの交換を行いました。
正常動作を確認
ロジックボードの交換を行った結果、本体は正常に起動。画面出力は二系統とも正常で画面落ちや電源落ちは起きなくなりました。
その状態でOSXおよびOS9の両方のシステムで起動させ、アプリケーションの動作確認を行います。電源ユニットやメモリの交換でしたら特に影響はありませんが、ロジックボードの交換を行うと本体としては違うシリアル番号の別の本体という扱いになるため、この辺りの動作検証は重要になってきます。
Adobeなど他社製のアプリケーションも無事に起動できる事が確認できたので、続いて全体の最終的な動作検証を行い、テストクリアと共に完了連絡と相成りました。
まとめ
PowerMacG4のQuickSileverといえば2001〜2002年ごろに発売されたものですからすでに20年以上前のモデルとなります。そのため今回交換したロジックボードなどはすでに新品のパーツ供給は停止しており、ご用意するものは中古の動作品という事になります。またそのパーツ自体も市場からだいぶ姿を消してきてしまっておりますが、弊社では可能な限り修理を続けてまいりますので、PowerMacやPowerBookを代表するようなメーカーサポートが切れてしまったビンテージMacをお使いの方、お困りの際は修理経験豊富なアーストへ是非お任せください。
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