MacBookPro Mac修理レポート

【SSD故障】NANDチップ交換で MacBookPro 2020 モデル のロジックボード修理

更新日:


きっかけは突然の起動不良

大阪府守口市のお客様より、MacBookPro (13-inch, 2020, 4 TBT3)‎ ‎A2251モデルの修理をご依頼いただきました。

ご申告の症状は、使用していた際に急にモーター音が強くなり画面が消えてしまい、その後、何をしても電源が入らなくなってしまったとのことでした。
データは日頃バックアップ済みであり、Macの修理を最優先にご所望とのことでした。

昨今のMacの電源が入らなくなってしまう症状の多くは、メイン基板であるロジックボードの故障が原因です。
今回も大変困難な故障モードとなっており、高難度なロジックボード修理対応となったため、その様子を修理レポートとしてお届けします。

ロジックボードの故障を確認

Macを分解してロジックボードを検査しました。
検査した結果、データを保存するSSD(ストレージ)を構成するNANDチップに2.5Vの電圧を発生させるICチップの故障を確認。
このため、このロジックボード上の故障したICチップを交換しました。
この結果、メインのパワーレールの回路は回復しましたが、電源が入らない症状に変化なし。
さらにロジックボードの検査を継続した結果、原因はロジックボードの別箇所にまで及んでいました。

基板上のSSD故障を確認

故障していたICチップの先の回路に問題があることを確認。
さらに検査を進めたところ、SSD(ストレージ)を構成するロジックボード上のNANDチップが故障していることが判明しました。
ICチップの故障をきっかけに、過電圧や過電流が発生してNANDチップにまでその影響が及んでしまっていました。

NANDチップとは?

NANDチップとは、ロジックボードに複数枚搭載されたMacのSSD(ストレージ)を構成するチップになります。

今回のMacBookPro A2251モデルのSSD容量は512GB。
そしてNANDチップが4枚搭載されていました。
これは、NANDチップ×4枚 = 512GB のストレージを構成しているということになります。
NANDチップ1枚には、128GBの容量をもっており、4枚が結合して論理ボリュームの512GBを構成しているということです。

1枚でもNANDチップが故障してしまった場合、この論理ボリュームは崩壊してしまいます。
つまり、これはSSD(ストレージ)故障が発生している状態であることが判明しました。

このため、原因をお客様にご説明の上、修理見積をご連絡。
修理続行のご了承をいただいたため、ロジックボードを修理しました。

NANDチップを交換

2016年以前のMacBookProでは、旧来のハードディスクのように容易にSSDを交換することが出来る構造でした。
しかし、昨今のMacBookProでは、このNANDチップがロジックボード上に、はんだ実装されているため容易に交換することが出来ません。
高度なロジックボードの修理技術が必要となります。
このNANDチップの交換修理では、必ずデータは抹消されてしまいます。
又、交換するNANDチップ自体の要件も高く、そのルールも非常にシビアな構造となっています。
少なくとも、全く同機種、同容量、同枚数のNANDチップを搭載している別のロジックボードがあれば、そのNANDチップを移植することで修理が可能です。
今回は、幸いこの条件を満たした別症状のロジックボードの在庫があったため、NANDチップの交換修理を実施しました。


※この調子で4枚のNANDチップをすべて交換しました


※今回故障していたロジックボード上のICチップとNANDチップ

ロジックボードの修理完了

NANDチップを交換してmacOSを新規インストールした結果、無事起動回復しました!!

Apple IRP で使用できる専用のMac診断プログラムによってハードウェアテストもすべてクリアしたため、これにて無事修理完了となりました。

SSD故障が多いMacをご紹介

今回は、MacBookPro (13-inch, 2020, 4 TBT3)‎ ‎A2251モデルのSSD故障の修理の様子をご紹介しました。
しかし、実は同様にSSD故障が発生しやすいMacの機種がございます。
それは下記のモデルです。

MacBookPro (16-inch, 2019)‎ A2141モデル

今回の修理レポートと同様にNANDチップに関連するICチップの故障をきっかけに、複数枚のNANDチップが故障してしまう症状が多い機種となります。

SSDの故障は保存データをすべて抹消させてしまい、データ復旧は不可能となります。
上記のMacをご利用のお客様は、必ずTimeMachineなどで日頃データの自動バックアップを行いながらご利用ください。

万が一、同様の症状が発生した場合には、お気軽にアーストへお問い合わせください。
Macロジックボード修理 】のプロフェッショナルが修理いたします。

18044-001

-MacBookPro, Mac修理レポート
-, , ,