MacBook (Retina,12-inch,2017) モデルの修理レポートです
『USBタイプCの差し込み口が緩くケーブルがしっかりとはまらない為、充電できなくなっている。ネットで調べたが内部の基盤が奥に引っ込んでしまっているのではないかと思われる』
このようなご相談を東京都新宿区のお客様からいただきました。お電話にて詳しくお話しを伺った結果、弊社新宿ラボから徒歩5分ぐらいにお勤めという事でしたので直接お持込いただく事となりました。
この機種はUSBポートが一つしかない
早速初期診断の開始です。まず最初に気づいた点として、本体と一緒にご持参いただいたUSB-Cケーブルのコネクタの片方が少し変形していたので、充電出来ない原因はそのせいかもしれないと思ったのですが、お客様曰くUSB-Cケーブルは他にもいくつも持っており他のでも試したが変わらなかったという話でした。次にディスプレイを開いたところ、バッテリー不足警告画面が出てすぐに画面が消えました。ご申告にはありましたが試しに弊社所有の検証用USB-Cケーブルを使ったところ一瞬バックライト点灯しましたが充電に至らず。
話はそれますが、今回のMacBook (Retina,12-inch,2017)というモデルは12インチと非常にコンパクト。そのうえ『余計なものは極力削ぎ落としデザインを重視しました』・・・的な作りになっておりまして。特筆すべきはなんて言ってもこの拡張性の無さ(苦笑)。 本体左側には今回問題になっているUSB-Cポートが一個、反対側の右側にはオーディオポートが一個だけしかありません。それまでの機種のように電源が別途供給できるのであればUSBポート一つでもまだ何とかなりますけど、このモデルはこのたった一つのUSB-Cポートで充電や外部機器との接続をしなければならないのですから、いくらなんでもここまで省かなくてもと思ってしまいます。
USB-Cコネクタの交換を試してみる
初期診断の結果では充電が出来ないという事以外は、特に問題は検出されませんでした。ちなみにUSB-Cポートは充電以前の問題として挿してみた感触がカチッとハマらず何か緩い印象だったので、やはりこのUSB-Cのポート部分(内部USB-Cコネクタ)が問題になっている可能性が高いと判断しました。そこで早速交換用のパーツを用意し、本体分解の上交換を試してみる事にしました。
まさかの異物混入
この世代のMacBookは中身もコンパクトです。メイン基板であるロジックボードも他の機種に比べるとかなり小さいです。それだけに丁寧に作業を進めないとボード自体を壊しかねない。ちなみにUSB-Cポートはそこだけピンポイントで交換出来そうに見えるのですが、パーツが液晶パネルのヒンジ部分に微妙に重なっている為、同ポートを外すには液晶上部を外す必要があります。これもコンパクトでスタイリッシュな作りのせいなのか分解する側の視点で見るとなかなか厄介な作りです。
そんな中、丁寧かつ慎重に分解を進めていく途中でUSB-Cポートから何かがはみ出しているのを発見しました。最初の検証の時には気づかなかった事から、おそらくパーツ交換を行うための分解過程で外に露出してきたのかもしれません。いずれにしてもこいつが非常に怪しい。ポート部分が壊れないように取り出してみます。
作業完了
USBーCポートに挟まっていたのは何と爪の破片でした。何故ここに入り込んでしまったのかはさておき、この異物があったせいでケーブルが奥まで入らず接触不良を起こしていたのでしょう。なんて事はない、こいつを取り除いた結果USBケーブルはすんなり奥まで挿さり充電も開始されました。
若干拍子抜けした感はありますがとりあえずパーツ交換もせずに回復できそうなので、もしこれが本当に今回の不具合の原因なのであればお客様にとってもこれは歓迎すべき事ですから、しっかりと動作検証を続けます。
まとめ
その後の検証でも正常な動作が確認できたことからお客様にも報告し無事に修理完了。今回はまさかの異物混入しかも人の爪が原因だったという非常にレアなケースでした。普段より故障ごとにある程度の原因を推測するものですが、こういう一見単純であり且つ予想外な理由で故障してしまう事もあるんだなと逆に勉強になりました。
弊社では新旧問わずMacのトラブルでお困りの方のサポートしてまいります。これからもアーストを宜しくお願いします。
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