MacBook(Retina,12-inch,Early2015)モデルの修理レポートです
今回のご相談はお持ちのMacBookのバッテリー残量が減ってくると電源が落ちてしまうため、新しいバッテリーに交換して欲しいというご依頼でした。
弊社ではPowerBookシリーズから現行のMacBookシリーズまで数多くのラップトップ型Macのバッテリー交換を行なってきましたが、世代が新しくなるにつれて本当に交換が面倒になりました。昔はそれこそ家庭にある電化製品の電池を変えるかの如く簡単に交換出来ていたのに、今ではネジ一つ開けられない仕様になってしまいました。
それでも修理を専門に行っている者からすれば多少作業工程は増えたものの他の修理と比べて特別に大変な作業とは思いません。では何故それをブログにしようと思ったか?
今回はそんな修理のプロである我々も『こいつは異端児だよね』と認める機種、【MacBook Retina,12-inchEarly2015】のバッテリー交換をご紹介しようと思います。
初期診断開始
本体が到着し早速診断開始です。お客様によるとバッテリーが減ってくると交換修理の警告が出たり、電源が落ちてしまったりするとのことだったので状態を確認します。最初の起動ではバッテリーの表示も正常と出ました。そのため本体に負荷をかけてそのまま様子を見ていたらバッテリーの枯渇と共に電源が落ちる症状が発生。そして再起動後にはメニューに『バッテリーの交換修理』という表示が出るのを確認しました。お客様のご申告通りですね。
この時点でバッテリー不良は間違いなさそうですが、お客様にご報告する前にその他の箇所に問題が無いかを調べます。
その結果、やはりバッテリーにエラーが検出されました。その他おそらくバックライトの劣化と思われる液晶のチラつきが若干見られるものの、現時点では使用に影響が無さそうなので交換するかどうかはお客様に決めていただく事にしました。
バッテリー交換は一癖あり
検証結果とお見積もりをお伝えしたところ、今回は液晶はそのままでバッテリーのみ交換する事となりました。
冒頭にバッテリー交換が昔に比べると段々と面倒になったと書きましたが、これはバッテリーに限らず、全ての修理、全てのMacに共通する事と言えます。iMacの液晶などがわかりやすい例ですが本体の構造が分解する事を想定していないというか、むしろ分解なんかさせないというような強い意志を感じます。そうじゃなきゃ工具の専門店に行かないと手に入らないようなY型、星型のネジなんて使わないでしょうからね。しかもネジのサイズもバラバラときたら悪意すら感じますよ(笑)
今回のMacBookも本体内部に一箇所、USB-Cポートからのケーブルを固定するための金属ブラケットをとめているネジの一つが1.1mmのY型ネジ(Y00)というやつでした。写真でいうと一番左のドライバーがそれです。これはダイソーには売ってませんよ多分w。終わってみれば今回は分解に都合4種類のドライバーが必要になりました。そこまでせんでも。。。
ネジもそうですが、このモデルは非常にコンパクトな作りをしているだけにパーツが全て小さいです。写真はロジックボードですが、通常のMacBookProやAirに比べても特に小さいですよね。ロジックが小さければケーブルの類も全て小さく虫眼鏡が必要なレベルと言っていいと思います。それでも精密なところですから慎重にやらないといけないし、ホント神経使います。
バッテリーを慎重に剥がすとこのような形となります。あんだけ色々な種類のネジを使っているくせにバッテリーは両面テープなんですよね。ただし無茶苦茶硬く固定されているので取り外すのはかなり大変です。本体をスタイリッシュに、そして処理能力も速く、バッテリーの持続時間も長時間になった。確かに素晴らしいですが、個人的にはバッテリーの交換をもっと楽にして欲しいですなぁw
まとめ
ここまでの本文を読んでいただき「ネジが色々あるってのはわかった。でもそれだけ?」それだけで異端児と呼ぶのはちょっと大袈裟では?と思われた方も多いでしょうが、この修理には最後の最後に注意すべき点が残っています。
実はこのモデルの本体はバッテリーを交換したら電源を入れる前に5ワットのiPhone充電器とUSB-C to USB-Aケーブルを使った低電圧電源に接続する必要があり、これをやらないと最悪の場合ロジックボードにダメージを与えてしまう事があるのです。熟睡してる子供をいきなりぶっ叩いて起こすのではなく優しく声がけしてから段々と起こしてくれって事か・・・過保護だなぁw
なんてこれは冗談ですが、でもせっかく苦労してバッテリーの交換をしてもこの情報を知らずに普通に起動を試す事で本体自体が立ち上がらなくなってしまうなんて怖すぎます。しかもこのモデルは記憶媒体のストレージ部分がロジックボードに組み込まれていますから、もしロジックが壊れて起動できなくなったら本体はおろか大事なデータすらも失いかねないという。。。。これはマジで怖いです。軽い気持ちでバッテリーだけ変えようと思っただけなのに終わってみたら本体もデータも失ってしまいました・・・なんて事が起きたら。それこそ何て仕様にしてくれてるんだよと文句の一つも言いたくなりますよね。
ちょっと怖い話をしてしまいましたが、この点は弊社であれば大丈夫。長年培った知識と経験がありますのでご安心いただければと思います。今回はこの写真のように無事に交換があ終わり本体も正常に起動してくれました。
ご覧いただく通りシステムプロフィールでバッテリーが正常に認識しているのを確認した上で充放電のテストもきっちりと行います。その結果最終的に問題ない事が確認できましたので改めてお客様に完了の連絡をさせていただきました。
という事で今回はMacBook(Retina,12-inchEarly2015)の修理についてご案内しました。気づけばこのモデルもメーカーのサポートから外れてしまったんですよね。弊社はメーカーがサポートしなくなったこのようなMacのサポートも引き続き行なってまいりますので、お持ちのMacに問題が起きた際は是非弊社までご相談ください。