MacBook Pro(16-inch, 2023) の修理レポートとなります。
大分県にお住まいのお客様から、『キーボードの数箇所が反応しなくなった』という事で修理ご依頼いただきました。
初期診断開始
事前にメールにてご申告いただいた内容ではキーボードの数箇所のみ反応しなくなったというお話でしたので、うまくすればキートップの交換だけで改善する可能性もあると考えていました。
まずは打感を確認したところ、全てのキーで特にベタつきのようなものはありませんでした。そのためキーボードビューアを表示させた状態でテキストエディットに文字を打ち込んでいきます。
すると『9』『O』『L』『.』の四箇所が全く反応しない事がわかりました。押しにくいとか反応が悪いというのではなく全く認識すらされていない状態でした。
キーボードごとの交換が必要
診断の結果、今回はキーボードの回路そのものが故障してしまっていた為、キートップや基板側のパンタグラフ(シザー構造)の洗浄や付け直し、交換では改善しない事がわかりました。この場合はキーボードの交換が必要です。
以前の弊社ブログでも触れていますが、仮にメーカーに同様の不具合で修理を依頼した場合は、キーボードだけではなくトップケースごとの交換となってしまうため、修理費用が高額になってきます。
その点、弊社修理ではキーボード単体の交換を行う事ができますので、よりリーズナブルに修理する事が可能となります。
診断結果をお客様にご報告し早速交換の了承をもらったので、パーツの手配を始めます。
ちなみにトップケースごとではなくキーボードのみの交換が行えると申し上げましたが、機種によっては(例えば最新のモデルなどは)まだ交換用パーツが市場に出回っていない事もあります。今回のMacBook Pro (16-inch, 2023)についても、なんとか入手できましたが、割と入手困難ではありました。仮にあっても日本語キーがなく英語キーしかなかったりとか、その逆パターンも。
仮にご依頼いただいても部材供給の関係で、キーボード単体の交換ができない場合もあるという事をご了承いただければと存じます。
交換修理着手
ほとんどの機種がそうだと思いますが、キーボード交換をするためにはバッテリー、ロジックボード、スピーカー、液晶ディスプレイ、USBポート(I/Oボード)など取り外す必要があります。ちょっとした大手術ですね。
上記パーツを取り出したら、次はバックライトシートを剥がしてようやく本丸のキーボードに到達できます。
キーボード取り付け
交換用の新しいキーボードを設置しますが、写真を見ると分かる通り、元々細かい大量のネジとビスで固定されているんですよね。これを慎重に剥がした上で今度は新しいキーボードを同じように取り付けてあげます。
ここまでで全工程の半分。つまり片道が終わったわけですが、一つ書くのを忘れていました。それは交換前のテストです。これだけの時間と労力を要してキーボードを交換したは良いが、組み上げてみたら正常に動作しなかったらえらい事です。考えただけでもゾッとします。なので交換作業を行う前に交換用のキーボードを仮付状態でちゃんと動作するかをチェックする。この一手間が非常に大切になってきます。まぁこれは我々サイドの話なので触れなくてもいい話ではありますが。
実際、以前交換用に用意したキーボードパーツが初期不良で動作しなかったり、よくみたらキーボードの配列が間違っていたりした事がありました。なのでパーツ交換の前の検品は非常に重要なのです。
まとめ
キーボード交換を終え、本体を組み上げたら最終動作試験を行います。事前のテストで大丈夫とわかっていても、この瞬間はいつも緊張します。テキストエディットとキーボードビューアを使い、全てのキーが正常に動作する事。キーボードバックライトがちゃんと光るか、環境光センサーが動作するか、そしてハードウェアの検査ツールをパスするか、これらを全てチェックし無事にパスして初めて修理完了となります。
弊社にご相談いただくキーボードのトラブルは液体混入が1番多く、今回のように通常使用で突然キーが反応しなくなるというケースはあまりありませんが、キートップの洗浄や付け直し、交換で改善できる場合もあれば今回のようにキーボード自体の交換で改善できるケースなど様々です。厄介なのは液体混入が絡むとAppleおよび正規代理店では費用が高額になったり修理自体受けてくれなかったりする場合もあるという事です。
その点、弊社ではメーカー修理よりもお手頃の値段で修理を行えるだけでなく、データ保護を基本とした修理を行えますので、キーボード故障で困った際はアーストまでご相談ください。
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