iMac(Retina5K,27-inch,Late2014)のお話です
東京都練馬区にお住まいのお客様から『突然電源が入らなくなった』という事でお持込いただいたiMacのレポートとなります。
2014年という世代から来る悩み
今回は弊社新宿ラボまで純正の箱に入れてご来社いただきました。元々メールでご相談いただいた時点で『修理が高額になるようであればデータの救出のみ希望』と伺っていましたが、実際にヒアリングしたところ『なによりデータ救出優先、もし安価で直るようなら直したいが、本体も古くなってきたので、基本的には買い替えを念頭に入れている』ということでした。
電源が入らない場合、まずは電源ユニットの故障を疑うため前もって同箇所の修理になった場合のお見積もりはお伝えしていましたが、お客様としては『悩みどころだがそれでデータも本体も直るのであれば・・・』と修理を前向きに考えていらっしゃるのかなという印象でした。
確かに2014年モデルのiMacとなりますと、最大で『macOS 11 Big Sur』までしかOSのインストールができないという縛りがあります。さらには発売から10年ほど経過しようとしていますので、それになりに経年による劣化が本体全体に起きていてもおかしくないというところでは、買い替えを視野に入れるというのも当然かと思います。
電源を交換しても直らない
修理費用が高額になるのであれば修理はせずにデータ救出のみ行いたいというご意向は伺っていましたが、いかんせん現状は全く電源が入らないためデータの安否も不明です。なおかつこの本体はFusionDriveモデルだったため、通常のSATA HDDモデルのようにHDDだけを取り出してデータの安否を確かめるということもできません。ロジックボード裏にこっそりと隠されているBladeSSDとセットで認識させる必要があるからです。
修理の観点から考えても、仮に本体修理をしないという選択になった場合でも、データを抜き出すことを考えたらこの本体の仕様では起動してくれることが1番です。そのためにまずは電源ユニットの交換を試してみました。
しかし残念なことに電源を変えてもうんともすんとも。全く起動してくれませんでした。ロジックボード基板上のステイタスランプを見たら一箇所点灯、基板上への電気信号はちゃんと送られてきているということで、これはつまり電源ユニットは正常であり起動できない原因は別にあるという事になります。
ロジックボードの故障
その後の更なる検証の結果、今回はメイン基板であるロジックボードの故障により電源が入らなくなっていたことがわかりました。
不具合の原因が判明しましたが、問題はデータです。次は今回お客様がもっとも大事と言っていたデータが無事なのか、救出できるのかを検証せねばなりません。
前述の通り、この本体はFusionDriveというSSDとHDDを組み合わせて一つのドライブとして使用する『ハイブリットHDD』という仕様からなっています。大容量のデータを格納するSATA HDD側は簡単に取りはずせるのですが、SSD側はロジックボードの裏側に鎮座しているため取り外すためには全分解が必要になるのです。なおかつHDDとSSDそれぞれ単体でアクセスできるならば良いですが、なんせニコイチじゃないとダメという仕様のためこれがまた厄介になるわけです。
データは無事でした
このようなケースでデータの安否確認と救出を行う方法としては、なんと言っても同じ世代のiMacを用意しそちらにHDDとSSDを搭載させるのが手っ取り早い!早速分解して再度別の本体に取り付けてみる事にしました。
まとめ
上記写真にある二種類のストレージ。これら二つが一つになってFusionDriveとして機能します。今回は検証用のMacに搭載したところ無事にデスクトップに『MacintoshHD』という名前のボリュームが一個マウントしてきました。こいつを改めてTimeMachineでバックアップをとることで単体のデータとしてだけでなくシステムやアプリも含めたお客様環境をまるっと救出&バックアップすることに成功しました。
こちらを外付けのHDDとしてお客様にお渡しし、お客様にて後日新たに購入した本体にデータの移行を行っていただくということで、今回の修理は完了となりました。
今回のように修理せずデータだけを抜き出すという選択肢もあると思います。弊社ではデータ救出のみでならず救出したデータを新しい環境に移行させる(新たなMacにこれまでの環境を復元する)お手伝いもしておりますので、今回と同様のトラブルはもちろんのこと、買い替えなどをご検討の方もアーストまでご相談ください!!
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