MacBookPro(13-inch,2017,4 TBT3)モデルの修理レポートです
〜 電源を入れると初期セットアップ画面がループする 〜
茨城県つくば市のお客様からMac修理のご依頼です。
大泉学園ラボへ配送にてお預かりさせていただきました。
今回は少し特殊なトラブルからの復旧依頼です。バックの中でミネラルウォーターがこぼれてしまい、Macの内部にも液体が混入した模様とのこと。そのあとから電源は入るが、初期セットアップ画面が出現し、インターネットに繋ぐよう施されるが、何度インターネットに繋いでも失敗してしまいデスクトップ画面が表示されず使用できない状態になってしまったとのことでした。
お客様でmacOSの初期化インストールを試したようですが、やはり同じ状況となり改善されないということで、Macの修理をご依頼いただきました。
このMacには重要なソフトウェア・アップデートが必要です。ネットワークに接続して、このアップデートをインストールしてください。
初期診断を開始し、早速お客様のご申告の症状を確認。初期セットアップ画面を進めていくと、ネットワークに接続するアシスタント画面が出現。ここまでは正常なのですが、ネットワークに繋げたあとに下記のアラートが出現します。
「このMacには重要なソフトウェア・アップデートが必要です。ネットワークに接続して、このアップデートをインストールしてください。」
正常なネットワークに接続しているにも関わらず、このアップデートは失敗してしまいます。何度もネットワークに接続し直しても同様。しかも、「このMacは、このアップデートをインストールするまで使用できません。」とのメッセージも。Macを再起動しても同じアラートが出現。いつまで経っても初期セットアップ画面を完了出来ず、デスクトップ画面が表示されることはありませんでした。これがお客様のご申告にあった初期セットアップ画面がループする現象でした。
考えられる原因は
過去にも何度か同様の症状で修理を承ったことがあります。考えられる主な原因としては下記が考えれます。
1)Touch Bar が認識できないため
2)T1、又はT2セキュリティチップのbridgeOSが破損しているため
1)は、Touch Bar自体の故障が原因の場合もあれば、ロジックボード側のTouch Barへのパワーレールに問題がある場合があります。
2)は、何らかの要因により、T1、又はT2セキュリティチップのbridgeOSが破損することがあり、これによっても同様の現象が発生します。
今回は液体混入の疑いがあるご申告もあったため、もちろん分解をしてMac本体内部の状態を綿密に診断していきます。
ロジックボード上に顕著な液体痕を確認
分解をしてロジックボードの状態を確認したところ、主に本体左側面に顕著な液体痕がありました。基板の表裏共にびっしり液体が混入していました。テスターでチェックしていったところ、やはりTouch Barへ電圧を発生させるコンポーネントから正常に電圧が発生していないことを確認。チェック中、次第に状態が変化していき、電源が入らない症状へと変化しました。液体の影響は広範囲に渡るため、メインのパワーレールにもショートが発生している様子。問題箇所をすべて洗い出し、ロジックボードを修理する必要があります。お客様に診断結果と原因、御見積をご連絡し、ご承諾いただきましたので修理を実施しました。
基板洗浄、ショート箇所を修復、そして起動回復へ
基板を洗浄しつつ、事前に洗い出しておいたショート箇所を修復。かなりの量の故障コンポーネントが存在していました。修理の結果、無事電源が入り起動回復しました!
「このMacには重要なソフトウェア・アップデートが必要です。ネットワークに接続して、このアップデートをインストールしてください。」
ロジックボードの修理にて回復後は、上記のアラートは出現せずに無事セットアップが完了し、正常にデスクトップ画面が表示されました。その他のハードウェアテストもすべてクリア。液体が液晶内部にまで混入しており、液晶に色ムラが発生しておりましたが、こちらはお客様のご判断により未修理となりました。これにて修理完了です。
まとめ
この現象とアラートメッセージをインターネット検索するとさまざま記事が出てきました。同様の現象に遭遇している方も少なくはないようです。この現象が発生するとご自身での解決は大変困難ですので、お困りの際は、ロジックボードの修理が可能なアーストへお気軽にお問い合わせください。
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