MacBook Pro (14-inch,2021) M1モデルの修理レポートです。
今回ご紹介するのは兵庫県神戸市にお住まいのお客様からのご依頼で『M1モデルのMacBookProのキーボードにお酒をかけてしまい、本体は動作するもののキーボードの右下辺りの戻りが悪くなってしまったので改善してほしい』というご相談を受けました。
初期診断開始
早速本体の状態を見てみた所、画像の赤で囲った箇所にベタつきを感じる事がわかりました。その中でも特にスペースキーは大きい分押し込んでからの戻りが一番悪く感じます。
該当の箇所が広範囲にわたる為、この場合の対策は主に二つ。キーボードごと丸々交換してしまうか、それとも該当キーを一つ一つ剥がして混入したアルコール痕を取り除いくかの二つになると思います。前者は新品への丸々交換なので作業的には楽ですが費用の面で考えれば後者の方がより安価に済む、ただし後者は実際に着手してみないとベタ付きが取れるかどうか断言できないという所ではあります。
事前に備える事
この世代のMacBookProはキーボードのキーを押すだけで電源が入る仕様の為、作業中にうっかり電源が入らないようにバッテリーの接続を外します。また大切なデータを守る為、事前にTimeMachineでデータバックアップをとっておきます。
洗浄の上でキートップ交換を行う
前述の通り、今回はキーボードごとの交換またはベタつきのあるキーを取り外し液体痕を洗浄するという二種類の改善策が考えられます。お客さまにこの二種類に関する見積もりとリスク(後者の場合は実際に着手してみないと改善できるかわからないという点)をご提案した結果、今回は後者の洗浄作業を行う事となりました。
キートップを外す
ご意向が決まったのでキートップを外す作業に入ります。しかし実際に着手してみるとこれまでの機種に比べキートップの着脱が難しい事がわかりました。力任せに外そうとするとキートップの爪や最悪は本体側のパンタグラフを破損してしまう恐れがあるために、ここは否が応でも慎重にならざるを得ません。
専用の工具を使って一つ一つキーを慎重に外していきます。
矢印キーを外したところです。
長時間における格闘の末、該当のキーを全て取り外す事ができました。写真では分かりにくいですが所々に液体痕が見られ、これがベタつきの原因になっているのは間違いなさそうです。
洗浄作業を行いました。
次なる作業は問題のアルコール痕の洗浄作業となります。キーボードはヘリをお湯に浸した綿棒で拭いてから無水エタノール浸した綿棒で汚れ落とすなどできる限り一つ一つ丁寧に作業しました。一番戻りが悪かったスペースキーは金属バーに乾いた酒がこびりついていた為に特に動きが悪くなっていましたがこれもしっかりと拭き取ります。
ちなみに配線の上については透明フィルムが貼られていて完全に落としきれない部分もありました。(写真赤丸部分)ただしこれはもう構造上完全に取り切る事が難しく、実際に該当箇所を触ってみてもベタつきが感じられなかった為、ここまでとします。
あとは洗浄したキートップを組み上げてみてベタつきがなくなっているかを確認する作業に移ります。
取り付け完了
洗浄が終わったので、今度はキートップの取り付け作業を行いました。その結果、キーボードの全てのキーでの入力及び打ち込みテスト正常。最もベタつきが強かったスペースキーも全く問題なしスムーズにクリックができる上にキーの戻りもカチッと浮いてきます。これならストレスなく使っていただけるかと。
まとめ
作業完了の連絡をし、お客様にご来社いただきました。
キーボードのコンディションについては問題ないレベルになっていましたが、やはり実際に使っていたお客様に確認していただく事が大事です。
実際にその場で全てのキーの反応を見ていただき、お客さまにもご満足いただきました。
今回は2021のM1モデルのキートップ交換ということでまだまだ修理件数も多くはありませんが、世代に関わらず修理対応してまいりますので
Macのことでお困りの際は弊社まで遠慮なくご相談ください。
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